実写化映画で村を焼き払うのをいい加減やめてくれ
大変ご立腹です。
実写版「かぐや様は告らせたい」を見てきました。
というわけで感想を書こうと思ったのですが、この作品についてどうこう述べようとするのはやめることにしました。
近年の実写化作品は、実写化創世期に比べると、かなり出来のいいものが増えており、当初「漫画アニメ実写化は悪、ろくなものにならない」という考えがはやっていたことに対して年々期待度も高まっていました。
まぁそりゃ、ハリウッドドラゴンボール見たらそんな感想にもなるわ。
初めての当たりは、僕の中ではるろうに剣心から始まりました。作品がとても実写に向いていたのもアリ、緊迫感も表現できる部分も大きかった。
ドラマ調や恋愛系の映画も比較的、実写化は容易でちはやふるなどもとても名作として作られていたのではないかと思います。
当初はコメディー作品の実写化は滑りやすいとしてタブーとされる風潮もありましたが、ヨシヒコの福田監督が見事、銀魂さで俳優と原作者、監督の相乗効果でうまくいっている印象もあります。
最近に至っては、あんなに数々の実写化を滑らせてきたファンタジー系は絶対ヤバいと言われていましたがBLEACHオタクの佐藤監督が見事映像化を成功させ、ここまでうまく表現してくるかと固唾をのんだものです。
しかし、そんな風潮を無視して、また原作レイプの実写作品ができてしまったことが大変遺憾です。
ハッキリ言ってしまうと、かぐや様は実写化が簡単に見えて非常に難しい作品だと思っています。原作では恋愛初心者がひどすぎるがゆえにサブタイトルの「~天才たちの恋愛心理戦~」が迷子になっていることが有名な話ですが、決して天才っぽくない行動をとっているだけであって、実際の登場人物は天才なんです。となると、いかにその天才だけど、行動が全く天才じゃないという矛盾を表現するのはかなり難しさを要求されます。今回の実写では完全に、アホになってましたね。
また、コメディー色が強いと思われがちの当作品ですが、一話一話で伏線をしっかりと張って花火回につなげるなどの丁寧な漫画の描き方がされているので、ストーリーがかなり繊細なんですよね。なので、少しでもその時のキャラクターの心情や、エピソードをミスリードしてしまうと、なんで???なんで???こんな行動をとるの???ってなってしまう。今回はこのやらかしもひどかった。
実写化がひどいという話、久しぶりにしましたが、今回のことを通して思ったのは、実写化が悪いのではなく、実写化という荒事に対して、いかに原作の強度があるかが重要ということでした。
原作強度というのは、決して原作が優れているかどうかという話ではなく、話をどれだけ改変させても大丈夫なのかという点にあります。キャラクターのやりとりで同行できる作品は強度がとても強いです。例えば、こち亀や銀魂といった作品ですね。それに対して、伏線をとても張っていたり、土台を積み重ねに積み重ねている作品は作品強度があまり強くないです。どこかを崩してしまえば、その違和感に非常に強く襲われます。
銀魂の原作強度はとても高かったので、福田監督の作り方に耐えうることができただけという結果なのです。しかし、今回のかぐや様は河合監督の作り方に耐えることができなかったということです。
チープな作り方や俳優に頼った作り方を否定するつもりは決してありません。作品としてオーバーリアクションを突き詰めれば、一つの立派な作品となります。ですがそれにすべての作品が耐えられるわけではないのです。
佐藤二朗さんに至ってもそう、僕は嫌いではないですが、僕たちは佐藤二朗さんに耐えられる強度の原作に佐藤二朗さんを見るべきなのではないのでしょうか?そういった意味では、駄作駄作と言われている、「実写斉木楠男のψ難」にも無限の可能性を感じています。
まぁそれでもこの「かぐや様」、実際一般層にはバカウケだそうで、「原作を知らないからそういってられるんだ!!!!」っていうオタクの声なので無視してもらってもいいので、ぜひとも自分の足で映画館に足を運んでもらいたいと思っています。確かに、橋本環奈さんはかわいかったし、藤原のキャラも面白かった(髪あげたときギャルだったけど)、かぐや様という一点を除いてみれば、恋愛シーンもあるコメディーもそこそこ面白い(のか?)というものなので、ただの映画として観れば退屈はしないんじゃないですか?
P.S.
かぐや様の変換がすべて家具屋様になるのどうにかしてくれません?家具屋はリスペクトしているけれども・・・・