わけのわからんデザインとは戦うな
先日の話ですが、社長とバチりました。もうバッチバチです。嘘です。何もしゃべりませんでした。
みなさんは、仕事でポスターのデザインを任されたことはありますか?
僕は割とあります。絵心もセンスもクソほどないにもかかわらず若いという理由だけでデザインを担当させられたことがこの三年ほどで5回ほどあります。正直デザインっちゅうものは水のようなもので、ある人からみればよいと思うものも他の人からすればよくない場合もあります。今回はそんな戦いの記録です。
職場バレを防ぐため架空の団体名や写真の改変、やり取りの脚色が一部ありますがご容赦ください。
ことはさかのぼること先週の火曜日。社長が僕のところに来て「うちの部署の宣伝ポスターを作ってみたんだけどどうかな?」と持ってきた。
僕は「シンプルで、キラキラしていていいですね」(実際後ろ背景はイルミネーションの写真でした)ととりあえずほめた。
「けど、派手な光物がある中に白字だと少し文字が見づらいですね。キャッチコピーに枠を付けるのはどうでしょうか。」と感じたことを素直に伝えた。はっきりと言わないが、社長がよいと思っているデザインなのだ。完全否定するのは良くない。
そうしたら仕事がめちゃくちゃ早い社長は10分後にこれはどうかと改作を持ってきた。
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枠を付けたらいいとは言ったが、なぜ派手な色の枠を選んできたのか?そして謎にかかっているグラデーションは何なのか。デザインの暴力である。突如シンプルな写真に現れた淡色の暴力にひるんだ自分であるが、なんとか発言権を得たので
「枠はいい感じじゃないでしょうか!すこし色が派手なので、透過度を上げてみるのもいいかもしれないですね!」
と食い気味にだが感想を述べた。社長は「透過度?」みたいな反応をしていたが、優秀な人間のため、すぐに言葉の真意を理解したようで30分後には完成版を持ってきてくれた。
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確かに透過度はかかっていた。しかし同時に謎のグラデーションがかかってしまった。派手な背景に突如現れた虹色のオブジェクト。~ノアの箱舟~である。人類の理解から大きくかけ離れたそれは空へと大きく羽ばたき僕たちの理解を置いて行ってしまった。派手な背景とは戦ってはならないという人類最初の大原則はどこへ行ってしまったのか
こういった大原則を守らないやつがいるから戦争がこの世界からなくならないのだ。と思った。
しかもこのデザイン、社長はかなりの自信作だったようで席に戻ったときには社長の姿はなく「来週をめどに調整したものをサーバーに上げておいてください」とメモがおかれていた。
私は正直このポスターが公共の場に張り出されるのは看過できなかった。ましてやデザインの一端にかかわっているとは思いたくなかったのだ。
そこでこっそりとデザインを修正した。
せっかくの自信作だったようなので、フォントなどはいじらずに、下の会社名を見やすく、キャッチコピーもおさまりがいい感じに改造した。どこにでもあるポスターの感じに仕上げた。正直センスがない人間は無難なもので戦うべきなのだ。同僚たちに了承を取り、サーバーに上げた。
その日のうちに社長のもとへ行き「改良版・・・いや、改造版を上げたので後ほど確認していただけると助かります」
ついつい口が滑ってしまい『お前の作品は悪い』みたいな本性が出てしまったが、伝えた。今思うとこれが100悪い。
次の日、たまたま顧客に対する説明会があった。そこで、来週までと言っていたはずのポスターを早速社長が印刷して自慢していた。そこにあったデザインは
WAO!俺の改造版はどこにもなかった。社長はすごくうれしそうに宣伝を行っていたのだ。そしてすぐさま、社内にこれを貼っておいて!と上質な紙に印刷されたポスターを手渡しされた。そのあと、ふとサーバーを見てみると僕の作ったデータは跡形もなく消去されていた。そうか、これが社会ってやつか・・・。二度とデザイン関係の仕事は引き受けないようにしよう。
今回の事柄で学んだことは「どんな作品であろうと本人が自信満々に作ったものとは戦うな」でした。
後日談
とある事情で、社内のポスターの位置を移動したところ速攻で社長がとんできて「あのポスターどこやったの!?」と言ってきた。どんだけ気に入っとんねん。